姜小青オフィシャル・サイト
先日、共同通信社HPの「心心相印」に載せた中国語の記事ですが皆さんはお読みになりましたか?日本の友人から「中国語の記事は、なんて書いてあるのだろう」と質問されて、この際、私のホームページのみ、日本語の文章を載せることにしました。
実は当初、日本語で書いてあって、中国語を勉強していらっしゃっる方にはぜひ合わせてみてね。日本語と中国語のニュアンスの違い、探してみて下さいね(^O^)
先週末、JAL主催会員のみの「中国古箏と中国料理の夕べ」に出演しました。長い待ち時間にちょっと飽きていた私(-.-)
暗いのにサングラスをかけちゃいました!
私は幼い頃から中国で専門的に音楽(中国古箏)の勉強をし、学生の時から演奏活動をしていました。その後、偶然知り合った日本の方からの紹介と、父が仕事の関係で日本企業と付き合いがあったという縁から日本で音楽活動をすることになったのです。
日本に来ていちばん大きな収穫といえば、音楽に対する見方が変わったことです。中国では主に先生から音楽の基礎と伝統を学ぶことに専念する毎日でしたが、日本に来たことによって音楽が持つ本来の楽しさを知ることができました。そのきっかけとなったのが坂本龍一さんとの出会いです。坂本さんは音楽を通して自分を表現することの重要性を教えて下さいました。音楽の楽しさだけではなく、その歴史や伝統への関心を呼び覚まされたのも日本での経験からです。
中国では、他の楽器もそうなのですが、古箏は時代と共に改良され、原型を留めない形になっています。これはもちろん、より弾き易く、より速く弾くための工夫なのですが、それによって「古箏」よりも「新箏」のイメージに近くなってきている気がします。日本では音楽、楽器の伝統が尊重され、できるだけ昔の形の状態を維持しようとする考え方があるように思えます。改良もするけれど元のものもそのまま残すということですね。例えば中国古箏の弦の数は、現在一般的に21弦です。これは改良を重ねて来た結果ですが、日本の箏は今でも主に13弦であることに驚きました。これは唐代の頃の形がそのまま残っているもので、日本に来て初めて中国の伝統的な形を残した古箏を見ることができたのです。日本箏のルーツはもちろん中国で、唐の時代に日本に紹介されたのですが、発祥の地である中国ではなく、日本でそのルーツが発見できたことは、私にとってうれしい経験であったし、自分が弾く楽器に対する知識を新たにすることもできました。
もう一点、日本に来て気づいたことがあります。日本には相手の立場に立って、相手に対する心遣いを大切にする文化があります。そのせいか、日本の観客の皆さんは、例えば演奏後に決まって「よかった!」とか「素晴らしい!」と褒めて下さいます。辛辣な評価を聞くことはほとんどありません。初めのうちは私も単純に自分の演奏が上達したと喜んでいましたが、ある時知人の中国人に演奏を聞いてもらった時、後で演奏に対する様々な鋭い指摘を受けました。中国では自分が思ったことをストレートに相手に伝える文化があります。中国での観客の皆さんは演奏の質の高さを求め、満足できないものであれば遠慮なく指摘します。これは中国における観客層が音楽関係者である割合が高いのに対し、日本では音楽を楽しむことを目的として来られる方が多いという背景も関係しているかもしれません。私は日本人の方々からお褒めの言葉をいただくともちろんうれしいですが、その反面、正直なご意見も少し聞かせていただけるとありがたいとも思っています。
私は中国で生まれ、中国文化圏の中で幼少期を過ごしましたが、日本での滞在期間もずいぶん長くなりました。中国と日本の文化が異なるのは自然なことですし、どの文化にも見習いたいと思う面があるのも当然のことです。文化交流とは、お互いの文化の良い面を認め合い、そのバランスをとっていくことに意味があると思います。私は音楽を通じて、中国の文化、日本の文化の両方を体験してきました。今後の音楽活動においても、中国文化と日本文化双方を取り入れながら、幅広く活動していきたいと思います。