姜小青 フォトギャラリー

東大寺大仏開眼1250年慶讃コンサート 2002年10月


10月15日

演奏メンバーの4人が、それぞれ日本各地から東大寺に集まってきました。 少し曇り空の下、イベント・スタッフの北中さんたちが、リハーサルの部屋まで用意していただいている東大寺の境内を、車で案内してくださいました。

「いよいよ明日、本番ね!」と、はりきってリハーサルをスタート。少し休憩しようと思った時、空模様が急変。突然、嵐のような雨が降ってきたのです。夜の 9時過ぎに現場で音響チェックをする予定でしたが、これではできません。「晴れ女」と言われるほど、いつもイベントの時には良い天気に恵まれている私ですが、今回ばかりは明日の天気が心配になりました。


10月16日

目覚めたら、とても爽やかな空気を感じました。昨夜の嵐のような雨はどこにいったのでしょうか。私の国の言葉で言うなら、空が高く空気も清清しいという意味の「秋高気爽」。とても爽やかに晴れあがった秋空です。

私たちメンバー4人は朝8時半に東大寺に入り、リハーサルを開始しました。ここには何度も来ているのですが、ふと見上げた東大寺大仏殿の天上の高さ、荘厳な大仏様の姿とその存在感に、改めて圧倒されました。

古箏を大仏殿の前に置き、すぐれた音響技術担当の人々やスタッフの協力もあり、無事リハーサルも終了。午後1時、いよいよ本番開始。今回のため、特別に北京でデザインしていただいた衣装に着替えました。本番前に挨拶にきていただいたお坊様とお会いした時、ふと足元の衣の色が私の衣装と同じ色であったことに驚きました。ご宝前に飾られている布も、私の衣装と同じ色彩。この偶然に、心がひきしまる思いがしました。私たち4人はゆっくりと舞台に向かい、各々の楽器の前に立ち、まず大仏様に一礼。厳かな祈りの中、「これから心を込めて奉納演奏をさせていただきます」と、私は心の中でつぶやきました。

境内に集まった予想を越えた1000人以上のお客さまを前に、まず『風のように』を演奏してからご挨拶。

「皆さん、こんにちは。本日大仏開眼1250年慶讃・・・」

今回の挨拶は、難しい言葉の連続でしたが、スタッフの福田綾乃さんと何度も練習して良かった。少し緊張した中で無事挨拶できたことにほっとし、とてもうれしくなりました。福田さんは、昨年の「奈良吉野魅惑体験フェスティバル」のコピーライターを勤めた方です。

『太湖船』、『水面』、『ムカム散序と舞曲』、『戦台風』、『シルクロード』、『ラストエンペラー』・・・と順調に演奏が続いていきました。心地良い秋風に吹かれながら演奏している最中、ふと私の故郷、北京の故宮で演奏しているような気になることがありました。東大寺は1250年前に建てられた日本国内で最大のお寺です。故宮も壮大な建築物であるという共通点はありますが、それだけではない、不思議に同じ場所にいるという感覚がするのはなぜでしょう。東大寺が建築された当時は、日本から多くの遣唐使が中国に渡り、中国からも多くの寺院建設の技術者が渡ってきました。東大寺が建設された時、中国人の技術者が参加していたのかもしれません。その時、箏も雅楽と一緒に海を渡って日本にやってきたのです。奉納演奏をさせていただきながら、遠いその時代へと心を馳せました。不思議に、外国ではなく、自分の故郷にいるような気がしました。古代から日本と中国は深いつながりがあり、それが今この時につながっている。これからも永遠に、お互いの国が仲良くしていけますようにと、心から祈りました。

馬平・姜小青・四家卯大・渡辺雅ニ

東大寺庭園にて

東大寺庭園にて

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